無題
森の奥まで入り、もう歩く気力も無く倒れたシャンノと少女の目に映ったのは、一箇所だけ火の手が及んでいない空間だった。
それは地の底より青い輝きを発する湖だった。
普通なら、おかしいと思うところだが、シャンノ達にそんな余裕は無かった。
その場所まで這って行き、湖の水を二人して必死に手ですくい、喉を潤した。
煤が張り付き、熱で焼けた喉を冷たい湖の水が潤していく感覚が言い表せない程気持ち良かった。
そして、今まで飲んだ水の中で一番美味く感じた。