【完】結婚させられました!?
先輩は私の腰に回した手に力を込めるし
、音夜君も音夜君で、もっと私と密着し
てきて、その吐息が耳朶を掠める。
なんなんだろう、この状況は、と思って
いると。
「ちょっとー、喧嘩しないでよー?」
ゆるり、と穏やかな甘い声が聞こえてき
て、暗幕から出てきたのは、大河原先輩
だった。
「わ、先輩……カッコいい……」
相変わらず柔らかそうな栗色の髪の毛を
、片側だけ耳に掛けて、ピンで止めた大
河原先輩の耳には、シルバーのピアスが
ついていて。
前髪は左に流してあり、第一どころか、
第二まであけたボタンから覗く鎖骨がセ
クシーで。
そのままホストになれそうな彼に思わず
そう呟けば、大河原先輩は少しだけ困っ
たように笑った。
「心優ちゃん、嬉しいんだけど、タイミ
ングがなぁ……?」
「へ?」
「隣、見てみなよ」
そう言われて先輩の方を見上げれば、先
輩は不機嫌そうに私を見下ろしていて。