【完】結婚させられました!?




クシャリ、と前髪をかき揚げて、苛立ち
を募らせていたら────……



「お、とや……くん…」



不意に、名前を呼ばれて。



起こしたのかと思って表情を窺えば、や
っぱりそれは寝顔で。



───なんだよ。タイミング良すぎだろ
、コノヤロウ。



今のたった一言で、すごく幸せになるな
んて。



頬が、緩むなんて。



「俺ってば、単純すぎ……」



ニヤける口元を覆いながら、ふいと彼女
から目を逸らした。



不意討ちは、ズルい。



そんな舌足らずな声で。そんな可愛く呼
ぶなんて残酷だ。



胸のドキドキが、消えないから。



◆◆◆




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