【完】結婚させられました!?
「……ぅ…あ、ありがとう」
「ふ……顔、真っ赤ですけど?」
さっきの優しい微笑みとは一転して、い
たずらっ子のように口角を上げる大倉。
大倉のせいなのに。
いつも不意討ちをしてくる大倉に、何度
赤面させられた事か。
恥ずかしくなり、夢中で目の前のケーキ
を頬張っていたから、気付かなかった。
僅かに目を伏せた大倉が、愛しげに、だ
けど苦しそうに私を見つめていたなんて
ことには。
それから一時間ほどカフェでのんびりと
して。
「───そろそろ行くか」
そんな大倉の言葉で、カフェを後にする
ことにした。
カフェ代は大倉が払ってくれて、返そう
とすれば「いいから」と断られた。