【完】結婚させられました!?
あっという間に、私は彼の腕のなかに、
すっぽりとおさまってしまった。
先輩とは違う、甘い匂いに一瞬くらっと
してしまう。
「ちょ、お、音夜君……っ!離してっ」
「なんで」
「な、なんで……って───」
むしろなんで、私は抱き締められてるの
。
それに先輩がいるのに……っ!
「わ、私には先輩が───……」
「おい、心優」
先輩が居るから、こんなことできない。
───そう言おうとした私の言葉を、音
夜君は容易く遮って。
さっきよりも、うんと不機嫌そうに。
それから、音夜君の指先が伸びてきて、
私の顎に当てられ、グイッと上を向かさ
れた。
「……っ!」