【完】結婚させられました!?
ギラギラと獣のように光る瞳に射られ、
声が出なくなってしまう。
息も出来なくなるくらいに美しいその顔
が、あと数センチで唇同士が触れてしま
いそうなくらい近くにあって。
カアッと顔が熱くなっていく。
「───……なぁ心優、イイコト教えて
やるよ」
「い、イイコト?」
ニヤッと口角をあげた彼に、どこか不穏
な空気を感じながらもそう聞き返す。
「この家のなかで……俺の目の前で、彼
氏の事喋ってみろよ。その唇、塞いでや
る」
音夜君はそう言うと、私の顎にあてがっ
ていた指先を、スルッと唇まで持ってき
て。
ぷに、と私の唇の弾力を、その指先で楽
しむ。
そして、艶やかに微笑んだ。
「俺の唇で、な」
私はこの時誓ったの。───先輩の事は
この家では封印しよう、と。