恋愛指導は秘密のくちづけで
声を出せば誰かが助けてくれる。


でも、ようやく噂が消えたところなのに、またくだらない噂と付き合うのはめんどうだ。


このまま塚越先生の言うことを聞いた方が安全なのかもしれない。


体の力を軽く抜く。先生はだらしない笑みを浮かべた。


「わかってくれればいいんだよ。柏葉。お前が好きなのは俺なんだから」


目を閉じる。これがわたしが叶えたかった恋の最終形だ。


幸せになる分、誰かが苦しみを味わう、最悪な恋愛のシナリオがはじまるのだろう。


入口の自動ドアが開く音がした。


「柏葉さん」


やさしい声が体に響く。目を開ける。目の前にいたのは、万里くんだった。
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