恋愛指導は秘密のくちづけで
「わかった。柏葉に近づかないし、会わない」


苦々しい顔をしながら塚越先生は言葉を吐き捨てた。


「これでよし。さて、柏葉さん、行きましょっか」


万里くんは笑みをこぼした。さりげなく万里くんは右手を出し、わたしの左手をとった。


「塚越先生、恋を教えてくれてありがとうございました」


塚越先生は肩を落とし、何も返してくれなかった。


万里くんは手をひっぱり、エレベーターへ足を進める。


閉まるドアのすきまから先生をのぞきみる。


あんなに大きかった先生の背中が小さく、しぼんでみえた。
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