恋愛指導は秘密のくちづけで
「ごめん、なんか、わたし……」


震える声にみかねて密着した体をゆるめてくれて、頬にこぼれる涙をぬぐった。


「実はオレもおまもりみたいなもの、あったりするんですよ」


ズボンのポケットから一本のリップクリームを取り出す。


「友人からもらったんです。このリップを塗るといいことがあるって」


だからくちびるがツヤツヤしていたんだ、他の男の子と違って。


「確かにいろんな女の子とつきあってきたけど、やっぱり違った。もういいやってあきらめかけてたときに、柏葉さんに会えたんですよ」


「これのおかげ?」


「そう。しかも、初恋の人に」


万里くんは少し顔を赤らめていた。
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