恋愛指導は秘密のくちづけで
「嫌なところ見ちゃって。見なきゃよかったって。これから見るであろうすべてのことが嘘を映しているようでね。このメガネは転職する前に雑貨屋で買ったの。お店のポップに【このメガネを通して見えるものはすべて浄化される】って。お守りになるかどうかわからなかったけど、嘘だと思ってかけてみたら落ち着いたの」


「ふうん」


万里くんの細く長い指がメガネのツルに触れる。


「やめて。触らないで」


「こうやって今見ているものが本物の世界ですか」


指がツルからはなれる。ほっとしたのもつかのま、万里くんの大きな腕の中につかまった。


「それならオレと会うときだけメガネをかければいい。オレと柏葉さんの二人の秘密なんだから」


自然と目から涙があふれ、こめかみまでこぼれおちる。


「万里くん」


万里くんはもっと体を密着し、万里くんの重みが伝わってくる。
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