溺愛マリオネット




「ね、冬馬さん」

「なーに」

「ここから出して」

やっぱりと言わんばかりの彼の表情。
憎い。
この態度が、今では死ぬほど憎い。
人は変わるのだ、10年前彼をどれだけ愛していたとしても

変わるものなんだ、気持ちって物はー・・・・。


「まぁ、そーくると思ったよ」

当たり前だ。
こんな茶番ふざけるな。
ヤレヤレと、言うことを聞かない子供をあやすような、
そんな彼にカチンときた。


ここを出て西園寺と縁を切る。


「出す訳ないじゃん」


当たり前の反応。
でも、もう怖いものはない。
家族を犠牲にされたところで私は怯まない。


「珠季ーさっきの続きしよっか」


私の話を完全スルーしてニコニコ笑う彼の手には金属バットが握られてる。
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