聴かせて、天辺の青

「アンタには、いろいろしてもらってるから……、ほんのお礼のつもり」



迷っている間に彼が答えてくれる。
照れ臭そうに顔を背けたままで、私の方を見ようともしてくれない。



「ありがとう、でもこんなの悪いよ、私は何にもしてないのに」
「十分だよ、俺にとってアンタは……」



ゆっくりと振り向いた彼の目は、今まで見たことないほど優しい。勘違いしてしまいそうなほど。



思わず私が目を逸らしてしまった。



「あ、ありがとう、じゃあ遠慮なく頂くね」
「うん、アンタには本当に助けられてるよ。ありがとう」



穏やかな声が体の奥へと沁みていく。



私は本当に、あなたを助けてる?



本当に彼を助けることができているのか、自信はないけど彼を助けたい気持ちは本物。彼を助けられるのなら、私は何でもするから。



だからお願い。
ひとりで悩まないで、何でも話してほしい。





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