俺が彼女を抱けない理由
「ねぇ拓ちゃん?」
「うん?」
「貴子さんって誰?」
「。。。。」
「拓ちゃん?」
「うん、部屋に入ってから話すから」
「わかった。。」
そして俺は部屋の鍵を開けた。
葵は買ってきたものを冷蔵庫へと入れる。
「貴子っていうのは俺の母親。」
俺の言葉に葵が冷蔵庫のドアを閉めてこっちを不思議そうに見る。
「えっ。でもさっき一周忌って。。。」
「うん。去年亡くなったから」
「アタシ、そんな事聞いてないよ?」
「。。うん。言わなかった」
「なんで?」
「言いたくなかった」
「。。。。」
「ごめん。」
「拓ちゃんはアタシには大事な事とか話てくれないんだね」
「違うよ」
「違わない」
「拓ちゃんは、本当はまだ沙希のことが好きなんでしょ?」
「。。何言ってんの?」
「アタシ、ずっと思ってた。拓ちゃんはまだ沙希のことが好きなんだって。二人でいても一人でいるような気がしてた」
「違う」
「もういいよ」
勢いよく閉められたドアを俺は開けることができなかった。
「葵ちゃん?」
親父の声が遠くに聞こえた。
「拓?」
ダンボールに入った餅を持った親父が部屋に入ってくる。
「喧嘩か?」
「。。。いや」
「拓?」
「ごめん。ちょっと一人にして」
「でも、お前葵ちゃん追いかけないでいいのか?」
「いいから出てけよ」
何も悪くない親父にあたる。
いつかこうなることは分かってた。
あんな葵初めてだった。
あそこまで追い詰めたのは俺なのに。
俺は携帯だけ持って外へでた。
葵の行き先なんて分からない。