俺が彼女を抱けない理由

ﾀﾏｷなら分かってくれるよな？


ずっと今の関係でいたいんだ。


無理に明るく話そうとするﾀﾏｷが自分と重なって見ていられなかった。


「ﾀﾏｷ？帰ろっか？」


「・・・うん」


「じゃあ気をつけて帰れよ」


「うん。また連絡していい？」


「当たり前だろ」



「・・よかった」


気持ちを伝えるのにどれくらいの勇気が必要だったのか痛いほど分かる。


俺はその勇気もなくて告白さえできないでいるんだ。






そして部屋に戻りまたベッドに倒れこんだ。


この日から俺は大切に思う人とはなるべく距離を置いた。


ただ傷つくのが怖いから。



こんなにも弱い人間だったなんてな。



三浦。。。


お前はどう思う？




「お〜い拓」



大きな声とともにﾄﾞｱが開いた。






「はいはい」



「どうしたの？」



「見て。」



満面の笑みで俺の前に立つ兄貴が大きなポスターを差し出す。


「えっ。。。映画？」


ﾆｺっと笑う兄貴に男の俺でも惚れそうになった。



「こないだの舞台、大きい事務所の人が見に来るっていってただろ？
事務所のﾏﾈｰｼﾞｬｰさんが俺のこと気に入ってくれてさ。これに出れることになったんだ。」


「すごすぎ。俺、見に行くよ」


「おぉ」