ベストマリアージュ
「……いいです

さとしに直接聞きますから」


敢えて敬語は崩さない。


私と優也の間には距離があるんだってこと、わからせなくちゃ。


それに又聞きは良いことなんか何もないって、経験からわかってる。


優也の口から聞けば、確実に悪意が混ざってるわけだから、余計不安になるだけだ。


「あっそ、でもさとし言うかな?

うまくごまかされたりしそうだよね?珠美ちゃん」


「そんなことないです」


「ほんと素直だよねぇ

顔に不安って書いてあるよ?」


強張っていく表情は、不安だからじゃない。


優也への嫌悪感だ。


そう自分に言い聞かせて、私はコーヒーを飲み干した。


「あの、食事、誘ってくれてありがとうございました

もう……行ってもいいですか?」


ひきつってるだろう笑顔を必死に優也に向けて、もうあなたとは話したくないとばかりにそう言った。


立ち上がろうとして、気づく。


お会計どうしよう……


「お金、後ででもいいですか?」


「何言ってんの?誕生日でしょ?俺がご馳走するに決まってんじゃん」


優也はさも当たり前のようにそう言って一緒に立ち上がった。

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