ベストマリアージュ
「あ、いえ……そんなわけにはいかないです

必ずお返ししますから」


慌ててそう言ったけど、優也は聞いてるのか聞いてないのか、しれっとした顔で伝票を持ったままレジへスタスタと歩いていってしまう。


追いかけたところで払えるお金はないんだけれど、私はなんとなくその後ろを小走りで追いかけた。


優也の払っている金額を見なきゃと後ろから覗きこんで絶句する。


いや、確かに美味しかったし高いだろうな?とは思ってたけど……


一万円は返さなきゃならないみたいだ。


調子に乗って勧められるままにシャンパンをもう一杯頼んだのがいけなかったのかもしれない。


あからさまにガックリしながら、払い終えた優也に一応小さく頭を下げる。


「ごちそうさまでした

あの、お金は必ず返すので……払って頂いてすみません」


内心は、自分で頼んでればこんなことにはならなかったのにとか、そもそも誘いに乗らなきゃ良かったんだとか、いろいろ思うところはあったけれど、それらを全部呑み込んで私はそう言うしかなかった。


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