ベストマリアージュ
優也は何も言わずにエレベーターホールまで移動すると、クルリと振り返り私を見た。


「珠美ちゃんてさ、そんなに俺に借りを作りたくないんだ?」


は?なに言ってんの?


「そもそも俺が無理矢理誘ったんだし、俺が払うのが当然でしょ?

誕生日を祝ってあげようと思った俺の気持ちはどうなんの?

そんなに絶対返すみたいに言われたら、俺の立場なくない?」


少し怒ったような拗ねたような、そんな言い方に驚いた。


あのさっきの会話からは、誕生日を祝おうとかそんな雰囲気は何一つ伝わってこなかった。


私を不安にさせて、さとしとの仲をこじらせようとしてるとしか……


おめでとうとは言われたけど、それがそのままの意味だとは思ってなかったし、優也に借りを作りたくないっていうのは正直当たってる。


「だって……優也さんと私って、ある意味恋敵でしょう?

だから祝ってもらう理由がないっていうか……

なにか企んでるんじゃないかって思っ……」


そこまで言ってハッとして口をつぐんだ。


いくらなんでもぶっちゃけすぎた。


仮にもお祝いしてくれようとしてたって言ってる人に向かって……


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