ベストマリアージュ
「やっぱりいい!」


そう言って、私はまた顔を伏せた。


さとしの腕を握り締めてた手も、ダラリと下に落ちて私は糸の切れた人形のようにうなだれるしかなかった。


嘘つかれるくらいなら、答えに困るくらいなら、聞かない方がいい。


「珠美が、心配するようなことはなにもない」


それは誰かに会ってたって、認めてるの?


じゃあ、なにしてたの?


聞きたいけど、聞けない自分がいた。


大地のときみたいに、笑って諦めるなんて、もう出来ない。


「確かに仕事じゃなかったけど……でもその延長みたいなもんだよ」


そんなんじゃわかんないよ。


もっとちゃんと説明して!


私が納得して安心できるような答えを言ってよ!


そう喉まで出かかってるのに言葉には出来なかった。


「閉店間際に昔の店の常連が俺を指名で来たんだ

それでそっからカラーやらカットやらやってたら、時間に間に合わなくなって……」


だけど、それでも終わってすぐに来てくれたらこんなに遅くならないでしょう?


「で、ちょっと店終わってからお茶飲んだだけ」


……は?


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