ベストマリアージュ
お茶飲んでたって、今聞こえたような気がするんだけど……


耳おかしくなったかな?


黙りこくる私に、さとしは何を思ったのかもう一度繰り返す。


「だから珠美が心配するようなことはなにもないよ

駅前のカフェでコーヒー一杯だけ飲んで、すぐこっちに向かったから」


な?って、さも私を慰めるかのような言い方に、めちゃめちゃ腹が立った。


そういうことじゃないでしょ?


彼女を待たせてんのに、なんで店の外で仲良くお茶なんか飲んでんだって話だ。


しかもただの待ち合わせじゃない。


誕生日っていうイベントの日に、だ。


「なに?それ……」


声が、震える。


さっきまで怖くて悲しかった感情が、怒りへと変化していくのがわかった。


「……え?」


さとしはまだ状況を呑み込めていないみたいで、間抜けな声を出しただけだった。


「有り得ない!なんで呑気にお茶なんて飲んでんのよ!

仕事が終わったら、普通急いでこっちに向かうでしょう?

なんで?

なんでその人とこんな日にお茶飲まなきゃなんないのよ!

疚しいことでもあるから、断れなかったんじゃないの!?」


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