ベストマリアージュ
言ってしまった。


ダメだって思ったのに……


だけど口から出てしまった言葉はもう戻せない。


案の定、さとしは不機嫌そうな声で、なんだよそれ……と呟いた。


「そんなに信用ないわけ?

客なんだから邪険に扱えないことくらいお前にだってわかるだろ?

わざわざ遠くまで足を運んでくれた客に、お茶でもって誘われたら……断れねぇよ、普通」


はぁ……とあからさまにため息をつかれて、ますます頭に血が上る。


こんなとき何か言ったらよくない方に転ぶに決まってるのに、黙ってられなかった。


「そりゃ元セフレなら、断れないよね?

お茶飲んだだけで済ましてやったんだから感謝しろって?

ありがとう、おかげで私は……」


そこまで言ってハッとした。


私、今、なに言おうとした?


優也と一緒だったって?


そんなこと言ったら、泥沼になるに決まってる。


キスされたことだってバレるかもしれないのに……


さとしは嘘をついてるようには見えなかった。


だから本当にお茶を飲んだだけなんだろう。


でも私は?


食事だけしたって言える?


< 240 / 307 >

この作品をシェア

pagetop