ベストマリアージュ
チッと舌打ちをしながら、さとしは私から目を逸らした。


「やっぱほんとなのかよ……」


誰に言うでもなくさとしはそう呟く。


私は目の前が真っ暗になりながら、どう言い訳しようかそればかり考えていた。


だって最初はさとしに頼まれたからだって言われたから……


そんなはずないって思ったけど、緊急事態だから私に一人で食事を取らせないように気を使ってくれたのかもしれないと思っても仕方ないよね?


思い付く限りの言い訳が頭の中で浮かんでは消える。


だけど結局、口に出して言うことは出来なかった。


どんな言い訳をしたって、私が優也と食事をした事実は変えられない。


キスだって……


私に隙があったからなんだ。


「……ごめんなさい」


散々さとしを責めたくせに、謝るさとしを許さなかったくせに、自分はこうして謝ることしか出来ない。


「ごめんなさい」


もう何に謝ってるのかもよくわからなかった。


優也と食事をしたこと?


キスされたこと?


それともさとしにひどいことを言ってしまったこと?


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