温め直したら、甘くなりました
唇を離した彼が、愛しそうに私を見つめて囁く。
「今さら結婚しないなんて言わないでくれよな。この間会ったばかりだけど、俺には茜しかいないと思う。さっきのはただの嫉妬だよ……悪かった」
……そんな風に言われたら、拒めないじゃない。
ううん、それどころか……
目の前の彼が欲しくてたまらない。
「あなたって、掴めない人ね」
「……そうかな?」
「そうよ、でも、そこが好き」
「結婚してくれる?」
「私を満足させてくれたらね」
集は笑って、自分で眼鏡を外すと私の耳にキスをした。
そして濃度を濃くしたため息を吹き込み、私の身体から力を奪う。
「……若女将はそのきめ細かい肌を粟立たせ、頬を桜色に染めながら男の手を待っている……半開きの唇からは悩ましげな声が漏れ――」
「なによ、それ……」
「ん?官能小説的プレイ」
「集は官能小説家なの?」
「いや、完全プラトニックな恋愛専門」
……集がプラトニック?
絶対、嘘。
それにしてはキスも着物を脱がせるのも上手すぎる。
官能小説家と言われた方が、納得だ。