温め直したら、甘くなりました

「……これにサインしてくれるまで今日は帰らない」



集がカウンターの上に広げたのは、婚姻届。

いくら何でもこのタイミングで出されたら、書く気にはなれない。



「……集がこんなことで怒る人なら、結婚のことは少し考えさせて欲しいわ」



私はそう言って、水道の蛇口を捻った。会話を断ち切るように勢いよく、水が流れ出す。


そのまま集の方を見ないようにしてお皿を洗っていたら、ふと腰の辺りに違和感を感じた。


もしかして……帯、解かれてる。



「ちょっと、集……」


「茜がうんと言わないのが悪い」



集は器用に外した帯を床に投げ捨てて、今度は伊達締めに手を掛ける。

徐々にお腹まわりが解放されていく感覚に焦って、私は食器を洗う手を止めた。



「――――こんなの、狡い」



振り返って彼を睨んだのに、降ってきたのは優しいキス。

彼の手はなおも動いていて、ついに最後の腰紐も外されてしまった。

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