温め直したら、甘くなりました

「茜、馬鹿、力んだら狭くなるって」


「だって……も、無理……」



待ち詫びた行為だったのに、終わるのはすごく早かった気がする。


そんな私たちの初めてをぼんやり思い浮かべていたら、カウンターに隣り合う集がぽつりと呟いた。



「――茜、俺の好きなところ、そんなに考えないと思い付かないの?」



さっきからいじけたままの顔で、集が私を睨む。



「色々、思い出してみたんだけど……思い当たることがひとつあったわ」


「なに?き、聞かせて!」



そんなに目を輝かせて、しかもどもりながら聞かれるととても言いづらい。

だって、私が思い付いたのは……



「…………集の、カラダ」



……がっかり。と効果音が聞こえそうな勢いで、カウンターに突っ伏した集。


だってしょうがないじゃない。


勢いで承諾した結婚。

あの時の私はそれほど集を好きだったんだなぁと他人事のように思い返すことはできるけど、当時の熱までは蘇らない。


セックスが良かったことだけ、身体がちゃんと覚えているんだもの。

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