いちごとばなな ~37㎝の恋~
誰かの手にメニューを上から奪われた。


「おい、子供がビール飲んでるんじゃねぇよ」


振り返って確認しなくても、背後に感じる気配に首筋の辺りがピリピリする。


ああ、同窓会だからこいつもいたんだ。


「壱吾、遅刻だよー」

璃子が唇を尖らせる。


「久しぶりだな、奈々」

あの頃と同じようにあたしの頭にポンと手を置き、髪をくしゃっと乱す。


「ちょっと~、髪がぐちゃぐちゃになるじゃない!!相変わらずムカつくんですけど、北条壱吾!!」


髪を乱す無駄に大きな手の甲をこれでもか!!ってくらいつねった。


「イテーッ!!お前なぁ…」

手加減しろよ…と言いながら、あたしの飲みかけの生ビールを奪う。
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