怖がりな兎さんとからかう狼さん
 それを聞いてホッとした。
 よかった。もう帰るのかと思っていたけど、まだ大丈夫みたい。
 さっき読んだ本を最後まで読むことにした。
 読んで面白かったので、それを片手にレジのところで並んだ。
 会計を済ませて、海翔先輩と本屋を出た。

「それ、随分と真剣に読んでいたな」
「これ、ファンタジー小説で主人公が可愛らしいんです」

 性格やどんな行動をとっていくかを話していた。
 先輩は話を遮断することなく、聞いてくれた。

「また連れて行ってやる」
「一人で平気ですよ」
「道、一回じゃわからないだろ?」
「わからないけど、大丈夫です」
「馬鹿。それのどこが大丈夫だ?誘拐されるぞ」
「ついて行きません!」

 そう言うと、両脇に手を入れられ、抱き上げられた。

「何ですか!?」

 足をばたつかせているが、子どもが駄々をこねているようにしかならなかった。

「満足したら解放してやろうかと思ったけど、面白いから望みどおりに誘拐してやる」

 そんなの望んでいない!誰か助けてください!!
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