ねえちゃん
「あんた良かったわね、道雄さんが義兄さんになったら美味しいパンいっぱい食べられるわよ」
「別に…俺あんまパン好きじゃ無いし」
ねえちゃんはニコニコしながら言ったけど、俺は顔を横に向けて窓の外を見ながら答えた。
ねえちゃんはそんな俺をチラッとだけ見ると、再び鏡の中の自分とにらめっこして
「ゴメンね、あんたにだけ言うの遅くなっちゃって」
と謝った。
「…そんなの気にしてねーよ」
「そう?ならいいんだけど」
会話が途切れると、部屋の窓が秋の夜風にカタカタと鳴るのが聞こえた。