イジワルするのはキミ限定*
「なに?」
うなずいたあとに、いちばん大切なことを思い出して呼び止めた。
「あの、助けてくれてありがとう……!」
「…………」
怒られたとはいえ、助けてもらったのは事実。
ニコッとほほ笑みながら、水沢くんにお礼を言った。
すると水沢くんの顔が一瞬驚いた顔になって、フイッと視線をそらされる。
「……別に、トロいキミみてたらいてもたってもいられなくなって助けただけだよ」
「でも、ありがとう」
「……どういたしまして」
目は合わせないまま、ボソッとつぶやくようにしてそう言い、水沢くんは部屋を去って行った。