『武士ドルが斬る!?』
〈後編〉
突如現れた殿にビックリしたけれど…竹筒から息を送り火を煽りたてる殿の真剣な眼差しにみとれた。
なんかその懐かしい光景に私は…ふいに涙ぐむ…。
それを見かねた帰蝶が殿に勇ましく声をかけた。
「まったく………!!
盗み見など…みっともない真似やめて下さい!!」
帰蝶の言葉にブホッ…と一瞬むせ込み彼女を睨んだ。
「盗み見など…吉乃が心配で様子をみてただけじゃが!!
大体まだ体調もよい状態じゃないのに…竈の火を見させるとはそなた鬼じゃな!!」
帰蝶の言葉に慌てて弁解しつつも…彼女はフフフ…と笑い私を手招きした。
「おほほ…!!
美濃の蝮をナメてもらっては困りますよ!!
さあねえ様…!!
ここは殿にお任せいたしましょう。
私達は向こうで材料を下拵えして湯が湧き上がるまで待つとしましょう!!」
無理矢理殿に火の番を押し付けて私の手を取り立ち上がらせた。
「いつから気付いていたの?」
小声で耳打ちする私をそのまま賄いどころの先の出入り口まで連れていき不意に山林の向こう側にゆらゆらと揺れる大松を確認した。