『武士ドルが斬る!?』
〈後編〉
帰蝶は魅惑的な笑みを唇に浮かべながら大松の数を数えながら答えた。
「――ここにくる前からでしょうか?
姉さまに会わせたい者がおりまする。
時期…現れますわ…。」
帰蝶の意味深な言葉に思わず首を傾けた。
すると…正面の雑木林の向こう側からゆるりと近づいてくる影が見えた。
「いい塩梅〈アンバイ〉でしたわね。
あの者から野菜を買うて下さりませ‥。」
手繰り寄せた私の掌にズッシリと重い金子の袋を乗せると‥やがて手を振りながらその野菜売りの商いの男に声をかけた。
「旬の野菜お一つずつわけて下さりませ!!」
彼女の声に商いの男はコクリ…と頷きやがて足早に私達の前へと小走りで近づいてきた男はドスンと私達の前にカゴいっぱいの野菜を置き顔をあげた。
―――その見上げた顔に私はいつか見た夢と重なった…。
「‥‥‥藤吉郎‥殿?」
浅黒い肌にギョロッと見開いたその目は生駒屋敷に出入りしていたまま瞳の奥に光を秘めていたままの猿こと‥木下 藤吉郎と重なり思わず声を震わせた。