True Love


帰りのホームルームが終わると、佐野くんはすぐに教室を出て行った。

誰かと予定があるのだろうか。

どうなんだろう…。

考えたってわからないのに、考えてしまう。


…始業式の時も、佐野くんの人気は凄かった。

直接声をかける女の子もいれば、佐野くんをチラチラ見ては何やら楽しそうに話をする女の子たちが何人もいた。

みんなの佐野くんへの視線は、まるでアイドルを見ているかのようだった。

こんなこと、今に始まったことではないのに、なぜか今日は改めて実感してしまった。


「未来、帰ろー」

「あっ、うん」

気分が沈むのはなぜだろう。
何をこんなに落ち込んでいるのだろう。

自分で自分の気持ちがわからなかった。


そんな気持ちの中、千晶ちゃんと二人、教室を出ようとした時だった。

「待って!」

「…笹本くん」

少し鼓動が早くなるのを感じた。
千晶ちゃんのせいだ…意識していないつもりなのに、勝手に体が反応してしまう。


「あのさ…よかったら、ファミレス寄ってかない?」
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