True Love
すると、

「きゃっ…」

後ろから佐野くんに抱きしめられた。


「照れちゃった?」

耳元で囁く佐野くん。
吐息がかかり、一気に体中が熱くなる。

ドキドキと心臓の音が煩いくらいに響く。


「離っ…」

「ダメ」

予想通りの返事。
耳元で聞こえる佐野くんの声に、胸が甘く震える。
ドキドキし過ぎて、おかしくなっちゃいそう…。

だけど…このままでいたいなんて思ってる自分もいて、そんな自分の想いに、ますます照れてしまう。


数秒後、佐野くんはゆっくりと腕を離した。

離れたとたん、寂しさが込み上げる。


「…どうしたの?寂しそうな顔して。もっとあのままでいたかった?」

「ち、違うよ!」

咄嗟に否定する。
本当は、正解だけど…。

佐野くんの前では、嘘をつけない。全部見抜かれてしまう。

真っ赤になった私を見て、おかしそうに笑う佐野くん。


「高野さんってほんと可愛いよね。反応が可愛すぎ」

「…っ」

何も言い返せない。
とにかく恥ずかしくて。


私は佐野くんから逃げるように、箒を手に持ち、床を掃き始めた。
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