True Love
次の日。放課後。


願い通り、また佐野くんは掃除に来てくれた。

だけど、昨日や一昨日みたいにドキドキするようなことは起きなかった。

それどころか、会話もほとんどないまま掃除をすませると、佐野くんは足早に図書室を出て行ってしまった。


静かな図書室に、ぽつんと一人きり。

あまりの素っ気なさに、悲しくなった。


全然、話せなかった…。
自分から話しかけないのも悪いのだけど。


佐野くん…昨日とはまるで別人みたいだった。

どうして?


なんか…泣きそう。

でもよく考えたら、最初からわかってたことだよね。

きっと気まぐれで…仲良くしてくれてただけ。

ましてや私だけ特別なんて絶対あり得ないことで…それなのに嬉しくて、浮かれてた。

ちょっとだけ、他の女の子より、特別な時間を過ごせている気がして…。



明日で今週の掃除当番は終わる。
明日も来てくれるかな?

気まぐれでいいから、何も話せなくてもいいから…少しでも、佐野くんと同じ時間を過ごしたい。

だから…明日もここで。
二人の時間を過ごせますように。

一人きりの図書室で、願っていた。





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