【完】うしろの席のオオカミさん
自転車が近づいてきてるのに逃げないなんて…
「急ブレーキかけることもあるかもだからちゃんと掴まっとけよー」
「…はーい」
掴まれっていってもねぇ……迷うんですが。
他の子だったら迷わず腰に手回しちゃうのかなぁ。
そんなことできないです。
「落ちても知らねーから」
そ、それだけは嫌だな…
痛いのイヤだ。
悩んだ結果、学ランの両端の裾をちょこっと掴ませてもらうことにした。
田んぼに囲まれた細道。
ここを抜ければもう家はすぐそこだ。
カラカラという一定の音がいつもより大きく聞こえる。