【完】うしろの席のオオカミさん
わざとらしい大きなため息をついてみせた。
「莉乃ちゃん、トイレ行こう」
「えー、ヤダ。廊下寒いじゃん」
無理やりといった感じで莉乃ちゃんの手を引いて教室を出る。
着ていたカーディガンの袖を引っ張って手をすっぽり隠し、莉乃ちゃんの腕に自分の腕を絡ませ密着。
うわ、やっぱ寒いなぁ。
そらそろタイツの出番かなー。
「大上って日向子みたいなのがタイプだったんだね。意外だわ」
トイレに入るなりそう口にする莉乃ちゃん。
「水瀬のことはもう好きじゃないんでしょ?」
「……うん」