【完】うしろの席のオオカミさん
好きだったのかもよく分からない。
まぁ、たぶん好きだったかも。
「でも今は恋よりも受験に集中しなきゃ、だよね」
そうだそうだ。
受験に集中しなきゃなのだ。
大きく頷くとぽんと軽く頭をなでられ思わず口元が緩む。
「なに、笑ってんの」
「莉乃ちゃんの手好きー」
ぎゅっと抱きついてみせると呆れ口調で莉乃ちゃんは「はいはい……」と言いながらもまた頭をなでてくれた。
大上くんと一緒に帰ったこと、好きだと言われたことは莉乃ちゃんと愛華ちゃんには言ってない。
あんなのどうせ嘘の告白だろうし。
気まぐれだったんだろう。
そんな風にしか思えない。