【完】うしろの席のオオカミさん
半分以上もまだ残っているお弁当。
時計を見てみると昼休みはもう半分過ぎていた。
は、やばい!早く食べなきゃ。
歯磨きする時間がなくなっちゃう。
「よく噛まないとダメだよ、ひなちゃん」
わかってるよ、とコクコク頷く。
「全く…もっと落ち着いて食べなさいよ」
莉乃ちゃんは呆れ顔をわたしに向けながらデザートのゼリーをつついていた。
みかんたっぷりゼリー……いいな。
たしか、家にあったはず。
夕飯のあとにでも食べようかな。
そんなことを考えながら休むことなく手を動かす。
食欲の秋。
全部おいしそうに見えてしまう。