【続】隣の家の四兄弟
「ああ、でも、聖二も三那斗も今日はもうすぐ帰るんじゃないかな」
キッチンからお菓子を手にしてきた浩一さんが言うと、ソファにいるアキラが綺麗な足を組んで言った。
「もう。セイジは働き過ぎなのね。これじゃ、デートする時間なんていつもないじゃない」
膨れながらそう漏らすアキラを横目に、私はダイニングテーブルについた。
L字のソファのもう一方側に座る孝四郎くんが、お茶を飲みながら冷静に答える。
「聖二にぃなんて、元々デートなんかしないでしょ。ね?」
「ね?」って、孝四郎くんまでこっちに振らなくても!
ちょうど私たちに背を向けるように座ってる孝四郎くんは、私を見て……というよりも、こちら側の誰かに向かって、という感じに見受けられた。
これ幸い、と、私はそれに対して特になにも言わずに黙っていたら、私の横に座ったチハルが驚いたように言う。
「Davvero?(本当に?)それが楽しみで仕事するようなものデショ?フツー。ぼくにはシンジラレナイな」
「僕も。まぁ、僕はまだ仕事はしてないけど、やっぱりそれなりの楽しみがあるからなんでも頑張れるよねぇ」
「チビコウ、わかってるねー」
「その呼び方止めて」
孝四郎くんとチハルが珍しく意見を合わせて会話してるのを手元のお茶を見ながら聞く。
正面から、ガタッと音が聞こえてゆっくりと顔を上げた。
そこには、今しがた座った浩一さんが、困ったように眉を下げて笑いながら私を見てる。
その視線になにも言葉が出なくて。
……浩一さんは、今どういう気持ちで笑いかけてくれたんだろう。
同情?それともこの場の空気に困ってなんとなく?
どちらにしても、やっぱり私は居心地が良くなくて、終始そわそわとしてしまう。