【続】隣の家の四兄弟
「あ。お昼、何食べようか? チハルも美佳ちゃんも食べるでしょ?」
話題を変えようとはかってくれたのか、浩一さんが和やかに言う。
チハルは即答で「もちろん!」と答え、私を見る。
「コウの料理オイシイもんね。あ、でもミカのもオイシイよ」
「あっ……あり、がと」
体を私に向けるようにして、頬づえをついて首を軽く傾げる。
そんなさりげない仕草と笑顔で言われると、下心なんてないのわかってても、ドキリとしちゃう。
「ねぇ。この前も思ったんだけど、コウちゃんのところのママとパパはいつもいないの?別のところに住んでるのかしら」
知らないんだから仕方ない。
それでも、つい最近チハルが同じことを聞いて、私は胸が痛んだ。
部外者の私がこんな気持ちになるんだから、孝四郎くんや浩一さんはもっと痛むに違いない。
「……いないよ」
しん、とした空気を破ったのは孝四郎くんだった。
「いない?」
目を丸くして聞き返したアキラに、すぐに孝四郎くんは言う。
「もういない。去年死んだから」
淡々と答えた言葉に、アキラもさすがに少し止まったようだ。
微妙な空気を打ち破るように、玄関のドアノブが静かに回る音が聞こえた。
……誰か帰ってきた!
聖二?でも、この雰囲気なら、三那斗のほうがいいな――……。
そんなことを思いつつ、でも、玄関のほうを振り向くようなことも出来ずにいた。
アキラはその音に気付いてないのか、全く玄関を気に掛ける様子も見せずに、ソファにもたれかかって口を開いた。
「……まぁ、親なんて、遅かれ早かれいなくなるものだしね」