【続】隣の家の四兄弟
あわあわとテンパっていたら、そんなこと気にも留めてないその人がポンと肩に手を置いて、くすくす笑って鏡越しに言う。
「お世辞じゃないよ?じゃ、あとは夏実さんにお願いするかな」
「えっ?」
その人の視線を辿ると、鏡の後ろにいつの間にかお母さんがいてびっくりする。
軽く会話を交わすと、メイクをしてくれた人は出て行ってしまって……。
「お、お母さん。いつから……」
「んー?ちょっと前?あ、この辺かなぁー美佳なら」
くるりと椅子に座ったまま半身を向けて話しかけると、お母さんは背を向けてなにかを探してる様子。
パッと振り返ったお母さんの手には、普段私はあまり着ないワンピースを手にしていた。
「お、お母さんもそのつもりだったの?私を撮るだなんて……!」
「まさか。知らなかったわよー。今聞いたの。でも面白そうじゃない」
「面白いって……。だって、こんなスゴイ人たちの中で、ド素人の私が!」
「いいじゃなーい。『いい』って言ってくれてるんだから。何事も経験よ、経験」
まるで家にいるかのような雰囲気のまま、お母さんのペースで動かされる。
椅子を立たされると、着替えのスペースみたいなところに押し込まれて服を押しつけられる。
「せっかく可愛くしてもらったんだから、そんな野暮なこと言わないで!ほら、早くこれに着替えてねー」
そう捲し立てるように言って、シャッとカーテンを引かれる。
……ホントにいつも通り強引。
人に口を挟む隙を与えないんだから!
ぶつぶつと言いながら手にある服を広げる。
もうなるようになれ状態で、私は着ていた制服を脱いだ。