【続】隣の家の四兄弟

私の言葉に間髪いれずに繋いで聞こえたその声。
信じられない思いで私は勢いよく顔を後ろに向けた。


「お前が来るとこはココだって言っただろ」


そうしてグイッと腕を引かれると、背中がポスッと広い胸に受け止められる。
後ろから軽く抱きしめられるような態勢。
見上げると、紛れもなく私を引きよせたのは……聖二だ。


「セイジ?!どーして……」
「すごいな、チハルは。こういうトコで仕事してんだな」


辺りをちらりと見ながら聖二は言うと、またすぐにチハルに向き直す。
そして、僅かに笑って言った。


「悪ィけど、そろそろ返して。〝チーちゃん〟」


言い終わると同時に、聖二の大きな手が私の手を取る。
そして、次の瞬間に、スタジオの出口に向かって走り出した。


……ちょっ……ええ?!
う、ううう嘘でしょ?!聖二が!あの走ることなんか嫌いそうな聖二が!
あろうことか、よくドラマとかで見るように、私を奪いにくるなんて……!


驚き過ぎてなんにも言えない。
ただ、繋がれてる手と、その手を辿った先にある聖二の背中を驚愕の目で見つめるだけで。

私は必死にスカートの裾を揺らしながら、履きなれない靴で懸命に聖二について行く。


勢いでビルから出ると、走りづらかった私は簡単に息があがってた。
比べて聖二は、意外にも全く平気なようだ。


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