【続】隣の家の四兄弟

くるっとチハルに体を回され、私たちは向かい合うような態勢になる。
腰に手を回されたまま、視界にはカメラのレンズやスタッフが外れてチハルだけ。


「ぼくだけ見たらイイんじゃない?」


イタズラッ子のような笑みを見せ、なんでもないように自然と私の髪に触れたり、頬に触れたりする。


「ミカ。笑って?」


首を軽く傾げて、チハルが囁いた。


〝笑って〟


チハルの言葉で、逃げていたことを思い出す。
アキラに言われたこと。
聖二は昔みたいに笑ってない、ってそう言われた。

アキラからすれば、それは事実なんだと思うと、それに対してなんにも反論はできない。
でも、だからといって、聖二の気持ちが嘘なのかって言われたら……。

……絶対、そうじゃないはず。


「……ミカ?」


やっぱり、〝つきあってるから〟とか〝笑ってないから〟とか。そういう理由っておかしいと思う。

それに、聖二が『やめる』って言ったからって、私の気持ちが簡単に整理出来るなんてありえない!

もし、そんなふうに言われるくらいなら――……。


「……死んでも、笑わせてやるんだから!」
「――え?」


ボソリと口にした言葉に、チハルの表情が素に戻る。
俯かせてた顔を上げてチハルを見た。


「ゴメン、チハル!私、やっぱり、こんなスゴイとこで笑うなんてこと出来ないし、イタリアにも行けない」
「当然だろ」


――え……?

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