【続】隣の家の四兄弟
帰ったときには、すでに家の中にはチハルはいなかった。
もちろん部屋はきれいに片付けられていて。
チハルのモノがひとつもなくて、本当に彼はここにいたんだろうか?とまるで夢でも見ていたかのようだった。
ふと、キッチンのカウンターに封筒が置かれてるのに気付いた。
そっとそれを手に拾い上げ、中身を見る。
「これ……」
そこにはついこの間のチハルと私の写真が数枚。
どれも私はひどい顔してるけど、チハルはとってもいい顔で。
その写真がチハルと一緒に過ごした日々を証明していて、どこかホッとした。
「あれ?」
最後の写真はなぜか裏返されていて。
それを捲ってみてみると、予想外のものにびっくりさせられた。
「い、いつの間に……!」
それは聖二が私を奪ったときの2ショット。
こんな瞬間を撮られてたなんて……!ていうか、見られていたってことだよね?!
こんなふうに、スタッフの人たちには見えてたんだ。恥ずかしい!
聖二は私の手を握り、私は聖二しか見てないその写真。
ものすごく恥ずかしいけど……でも、これ、一生の思い出になるから大事にしまっておこう。
そう思ってその写真もそのまま、元の封筒にしまい込んだ。
それから、珍しく今日出された課題を終えてから少しして、私の携帯が鳴った。