製菓男子。
「彼女は月曜日に自分に関わった人が、不幸になると思っている。というより自分のせいで不幸を呼び寄せてしまったって感じかな―――でも俺やシンジはそう思ってないし、ほかの人もそうなんだと思う。俺の場合は彼女のお陰で更正できたと思ってるし、シンジはいずれ起こったことだろうと思っている。それが未然に防げた分ラッキーだし―――シンジもお礼を言ってたくらいだからな。けれどそれが、肝心の彼女には伝わらない。その根本的原因は、俺から話すことじゃない」
「本人に聞けってこと?」
「聞けというより、言うまで待ってやってってこと」
「言うまで?」


ミツキは「そうそう」と二度頷いた。


「チヅルちゃんは嘘っていうか、秘密を抱えたまま生活できるような器用な子じゃないんだ。もしできていたとしたら、引きこもりにもなっていなかったと思うし、いじめすらあっていなかっただろうと思うよ。彼女は自分のことは二の次で、とっても他人想いなんだ。だから、心の準備が整ったら、きちんと事情をゼンに話すと思うぞ」


藤波さんにとって、その「秘密」を伝えることは、とてつもない勇気が必要なのだという。
軽々しいことじゃないと、それは僕にもわかる。
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