製菓男子。
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熱があるんだから翌朝忘れていたらいいなぁと期待していたら、今朝わたしが仕事に行く前にも言ってきた。


『ジャンプ買って来い』


兄の購読暦は二十年近いことを知っているけれど、わたしとのつきあいはそれ以上の歳月がある。
わたしのことももっとわかっていてもいいはずだ。


(だって発売明日だよ、月曜日だよ。何度も言うけど)


柏餅の日が終わって、「和菓子もいいけど洋菓子もね」みたいな感じなのか、連休最終日の日曜日で一日分余計に休日があるからなのか、「今日は家でゆっくりお菓子でも食べましょ」みたいな感じらしい。
今日は開店前からお客さんが並んでいて、わたしは浮き立った視線に耐えなければならなかった。


「これがうわさのイケメン店員さんが働く―――」
「お菓子もおいしいけど、店員さんもおいしそう」


平日のお客さんはわたしが「彼らの(イケメンの)友人の妹」という立場であることが浸透してきた。
中にはわたしを介して兄に会いたがる猛者も出てきたくらいで、接客上は助かるようにもなっていた。


しかし休日はそういった常連客はほとんどいなくて、一見さんだったり、遠方でめったに来られないお客さんであったりと、向けられる視線がどこかせわしない。
店内を見渡す人、レジカウンター奥で働く塩谷さんを注視する人、そしてわたしを見る人。
三者三様でわたしは対応に困る。
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