製菓男子。
得意げになっている兄に怒りが込み上げる。
それを見越したように「食べさせてくれたらチャラにしてやる」と兄が言う。


(どんだけ食べさせて欲しいんだ、この人はっ!)


まるで自分の意見を通そうとする我の強い子供。
高熱が続き、兄は退化したようだ。


結局わたしはしぶしぶ承諾し、兄に食べさせる。


(お金ないし)


兄は腕を組んで足を投げ出している。
だるくて深く座っているのだろうけれど、どこかの重役みたいにえらそうに食べている。


「うまい」


主任という肩書きのくせに、社長風の貫禄が漂う兄が満ち足りたように笑う。
わたしは会社で働いたことはないけれど、成果を評価してもらえたようで、その一言がどこかうれしい。


「飲み物もありますよ?」


普段兄は褒めることがないから、つい愛想をよくしてしまった。
わたしは単純にできているのだろうと、このとき初めて気づいた。
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