製菓男子。
「あの、その、おねえさんっ!」


ツバサはベッドの上で正座をしてから、藤波さん目がけて土下座をした。


「ありがとうございましたーっ!!」


こういった光景は殿と家臣のような主従関係が描かれる時代劇で見た気がする。


「お陰さまでリコは無傷でした。それもこれも、おねえさんのお陰です」
「わたし、お礼を言われることしてません」


頭を上げてくださいと懇願する藤波さんの声は弱々しく、やはり涙を瞳にたたえている。


「そんなことないですっ!」


顔を上げたツバサも藤波さんにつられたように泣いている。
時代劇だと感動的なシーンかもしれなかったが、僕はなにかの余興に見える。
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