製菓男子。
「ほらまた」


腰に回された手に力がこもったようで、さらに身体が宮崎さんと密着した。


「宮崎さんも、あ、雨に濡れちゃいますよ?」


いい口実が見つかったと内心でほくそえんでいると、「今さらだよね」と至極冷静な声が返ってきた。


「勉強になった。藤波さんときちんと話すときは、逃げ出さないようにしないとだめ」


その上がっちりと手を握られている。


「僕の、どんな未来を見たの?」


密着していると背の高い宮崎さんの顔を見上げるのも一苦労だ。


(首が痛い)


宮崎さんの髪に雨が染みて、雫になって落ちていく。
“水も滴るなんたら~”みたいな感じで、宮崎さんの顔から目が放せない。


「教えて」


ゆっくりと宮崎さんの顔が近ついて、そう耳もとで囁かれた。
耳朶に息がかかって、くすぐったい。
身を捩って逃れようとも、繋いでいた手で髪を梳き、耳をさらにあらわにされた。
耳の奥の奥まで吐息がかかってどきどきする。
このままだと心臓が壊れてしまいそう。


「あのっ、その……」


しどろもどろになりながらも、なんとか言葉を紡いで説明する。
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