ミリオンラバー
「なるほどね~」

一人納得した様子で美月はうんうんと頷いた。

「あっこんな時間だ。私そろそろ帰りますね」

からあげを食べ終えた柚羽は時計を見て立ちあがった。

「本当だ。ひきとめちゃってごめんね。今日は本当にありがとう」

「いえ。私こそありがとうございます。唐揚げもおいしかった!」

思わぬおまけも付いてきたし、と小暮をちらりと見ながら心の中で柚羽はほくそ笑んだ。

「また来てもいいですか?」

「もちろん!いつでも来て!ねえしんちゃん?」

「もちろんだよ。友達たくさん連れて来てね」

はい!と柚羽は答えた。

「明人。あんたも帰るんでしょ。ちゃんと柚羽ちゃん送りなさいよ」

「はあ?何でオレが…」

「いいんです。駅まですぐですから」

「だめよ。女の子なんだから。何かあったらどうするの」

分かってるわね明人。と姉美月にすごまれた小暮はため息をつきながら黙って立ちあがった。

「さっさと来いよ。置いてくぞ」

その言葉に柚羽は美月としんちゃんにごちそうさまでしたと頭を下げ、急いで小暮の跡を追った。

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