ミリオンラバー
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文化祭費の件は結局うやむやになって終わった。

費用が見つかったことでクラス全員とりあえず安心し、その話を蒸し返すものはいなかった。

もちろん小暮に謝罪する者もいなかった。

それどころか小暮と目を合わそうとする者さえもいなかった。


『自分の気持ちをちゃんと話して』


小暮は柚羽の言葉を思い出していた。


話したところでどうなるんだ。

誰が俺の話なんか聞くんだ。



小暮は帰宅しようと下駄箱に向かった。

その時

「小暮!」

小暮が振りむいた先には光本がいた。

返事は返さず、目だけで答えた。

何か用か?と。話す気にもなれなかったのだ。




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